答えてくれた人
株式会社資さん 人事採用課
河村美紀さん(43)
福岡県北九州市出身 前職:和裁士
「株式会社資さん」は、北九州市発祥の「資さんうどん」をチェーン展開する企業である。人気の秘密は、秘伝のスープ、もちもちの自家製麺、そして100種類を超えるといわれるメニューの豊富さにある。バラエティに富んだうどん、ボリューム満点のどんぶり、さらには、おでん、ぼた餅といった個性豊かなサイドメニューたちが、何度通っても飽きさせない。2020年に某人気テレビ番組で「福岡ケンミン熱愛のチェーン店」として紹介された際には、Twitterトレンドで日本3位になるほどの反響を呼んだ。
創業は1976年。かつては北九州市のみの展開だったが、2009年から市外への出店を開始。2018年に佐藤崇史(ボストンコンサルティング、ファーストリテイリングなどを経験)を第3代社長に迎えてから、さらに拡大戦略が加速した。現在は福岡市とその近郊に積極的に進出。佐賀県や大分県にもエリアを広げ、56店舗(2021年9月現在)を展開中だ。年商は今や78億円にのぼる。
しかもその勢いは、まだまだ加速しつつある。多くの外食企業がコロナ禍による深刻な影響を受けているなか、同社は5年後に現在の約2倍となる100店舗をめざす計画を公表。関東やアジアにも出店する計画を温めており、「九州の資さん」から、「日本の資さん」、ひいては「世界の資さん」への飛躍を目論んでいるのだ。
しかし飛躍には、翼が必要。「資さん」における翼とは、次の店長となりえる人材たちにほかならない。そこで2021年度からは正式に「人材採用課」を発足。新卒採用を本格的にスタートさせるとともに、中途採用にも大きな力を入れ始めた。
そんな動きの中心にいるのが、人材採用課のメンバーに抜擢された、河村美紀さんだ。聞くところによると、河村さんも転職で入社した1人だという。そんな河村さんに、実際に働いてみて感じた、職場としての「資さんうどん」の素顔と魅力を聞いてみた。
1人1人が経営者。感じの良いお店作り
まずは河村さんのご経歴を教えていただけますか?
- 河村さん:
- 出身は北九州市です。高校を出て食品工場で7年間働いた後、和裁士の仕事を始めました。でも和裁の仕事だけではなかなか生計を立てることができません。そこで29歳の時に始めたのが、「資さんうどん」のアルバイトでした。
働いてみてのご感想は?
- 河村さん:
- すごく楽しかったです。和裁の仕事は1人で黙々とやるんですね。あこがれていた仕事ではありましたが、一生こんな感じで働くのはさみしいなとも感じていました。でも「資さんうどん」では、大勢のスタッフと力を合わせながら働くことができます。しかもバイトや社員、1人1人にやりがいがあるんですよ。仕事をやらされるのではなく、「これは自分の仕事だ」と思わせてくれる雰囲気がありました。だから、「社員にならないか」と声をかけていただいたときは嬉しかったですね。32歳のときに店舗社員になりました。
その後は店舗でご活躍を?
- 河村さん:
- 39歳の時に店長に昇進しました。店舗経営の成績を競う「資-1グランプリ」というイベントがあるのですが、そこで3位の成績をいただいたり、恵方巻の1日の売り上げ記録を作ったりしました。それで会社から認められ、新店スタッフの面接や採用、教育などを任されるようになり、2021年から新設された人事採用課にきました。現在は、学歴や経歴を問わず、次のリーダーになりえる店長候補を採用し、育てることが私の仕事です。
職場としての「資さんうどん」の特色があれば、教えてください
- 河村さん:
- まずは、接客マニュアルがないことだと思います。創業者が作り上げてきた味を守れるよう、調理にはマニュアルが作られていますが、接客にはいまだにないんです。
接客をマニュアル化しないのは、なぜでしょう?
- 河村さん:
- 経営の根幹に、1人1人がお客様からお金をちょうだいしている商売人であれ、という考え方があるからです。もちろん、店づくりの目標はあるんですよ。「気持ちの良い接客、心地よい雰囲気」というのがそう。この目標を実現させるために、1人1人が、自分で考える。それが「資さんうどん」のスタイルなんです。自分で考える幅があるからこそ、目の前のお客様に対してより適切なサービスが提供できるし、自分もやりがいを持つことができます。
マニュアルがないと、指導が難しいのでは?
- 河村さん:
- そうですね。教えるうえでは難しい面もあるのですが、でもみんな、必ずいいところがあるんですよ。仕事を覚えるのは遅くても、ものすごく元気があるとか。接客は苦手だけれど、清掃面ではよく気がつくとか。そういういいところを見つけて、ほめてあげる。すると少しずつ、他の仕事もできるようになっていくんですね。やがて、それを見ていた周りの人もほめるようになります。するとまた仕事が楽しくなるし、チームワークもよくなっていく。そういう経験を、店長候補の社員たちには伝えるようにしています。
現場重視の経営。だから自分の色が出せる
ほかにも、「資さん」ならではのこだわりはありますか?
- 河村さん:
-
徹底した現場主義も、そうだと思います。
創業者が2年かけて作り上げたダシも、毎日、各店舗で仕込むんです。肉うどんの肉も店で焚いていますし、ぼた餅も1個ずつ店舗で握っています。その技術をマスターして、従業員に伝えていくのも、店長の役割です。
「資さん」の店長は調理もするんですか?
- 河村さん:
- はい、「資さん」の店長はマルチプレイヤー。なんでもやります(笑)。ですから店長候補は、ホールや厨房も含めて、すべての作業を学んでいきます。また店長になれば、バイトの面接や採用も任されます。
店長はお店の経営すべてを任される?
- 河村さん:
- その通りです。しかも接客同様、店づくりにも細かいマニュアルがないんですよ。だから、店長が自分の色が出せる。それも「資さん」の大きな魅力でしょうね。
自分の色とは?
- 河村さん:
- 例えば、元気がいい店長の店は、スタッフも元気がいいですし、女性店長のお店には、店内にさりげなくお花が飾ってあったりもします。こんな商品を導入したいと社長に提案する店長もいます。その店長の個性や、よいところが、店にあらわれるんですよ。ですから、同じ「資さんうどん」でも、同じお店は1つもないんです。
店長にキャリアアップするためにはどんな条件がありますか?
- 河村さん:
- そこは1つの課題だと思っています。カリキュラムや評価基準はあるんですけど、「どうなれば店長になれるのかが、わかりにくい」という声が、現場からもあがっていまして。そうした声を受けて今、独自のコンピテンシー評価制度を磨いているところです。どれくらいの期間で、何ができるようになったら、店長になれる、という目安が見えるようにしたいと考えています。
どんな人が店長になっていますか?
- 河村さん:
- 当社は、人柄を重視していると感じます。「資さん」らしさを理解し、体現できるかどうか、がいちばん重要なポイントかもしれません。
「資さん」らしさとは?
- 河村さん:
- 当社は「幸せを一杯に」という経営理念があるのですが、お料理や空間の提供を通じて、お客様を幸せにできるよう、努力していくことだと思います。幸せのかたちはいろいろあると思いますが、人は幸せを感じる時、必ず笑顔になりますよね。目の前のお客様を、笑顔にできるかどうか。それが当社の社員に求められるミッションだと思います。
コロナ禍で感じた強みと新しい可能性
話は変わりますが、「秘密のケンミンSHOW」(2020年1月放送)の反響は大きかったらしいですね?
- 河村さん:
- すごかったです(笑)。どの店もいつもの倍くらいのお客様が来てくださいました。ごぼ天のゴボウが少なくなってしまって、他店から急きょ持ってきてもらった店もあったようです(笑)。
最近の業績はどうなのでしょう?コロナ禍の影響はありますか?
- 河村さん:
- やはり影響はありますね。営業を自粛している期間もありましたし。ただ、ありがたいことに、店を開けると、お客様が戻ってきてくださるんです。影響としては最小限に抑えられているのではないでしょうか。「資さんうどん」がいかに多くの方々に愛されているかが、改めてわかりました。と同時に、新たな取り組みもどんどん始めていますよ。
新たな取り組みとは?
- 河村さん:
- テイクアウトや配達サービスも始めましたし、タブレット端末でのオーダーシステムを取り入れた店や、ドライブスルーを始めた店もあります。今のこの状況を、進化のチャンスにしたいという思いは強いですね。
会社とともに夢を追い、成長していけるやりがい
この時期に新卒採用を本格的に始めたのはなぜですか?
- 河村さん:
- ありがたいことに、店舗も本社も、人材が足りないんですよ。今も年間5店舗から10店舗のペースで新規出店を続けていますし、商品開発のスピードもどんどん速くなっています。
具体的にはどのような目標を掲げていらっしゃるんでしょう?
- 河村さん:
- 現在は56店舗(2021年9月現在)ですが、5年後には100店舗をめざしています。と同時に掲げているのが、「百年企業をめざす」という目標です。その実現のためには、土台を今からしっかりと作っていく必要があります。そこで、次世代のリーダーになりえる人材の採用に力を入れることにしたんです。
事業エリアもますます広がりそうですね
- 河村さん:
- 九州では近々、宮崎県への進出を計画しています。中国地方では、山口から、広島をめざすことになると思いますね。その後は、関西か関東へ。さらにはアジアへの進出も視野に入れています。
未知のエリアへの進出は大変でしょうが、勝算は?
- 河村さん:
- 味には自信があります。おいしいものはどこでも通じると考えていますから、胸を張って、「資さん」として勝負していきたいと思っています。ちなみに当社にはベトナム人スタッフも多いのですが、「資さんうどんは、ベトナムでも成功する」と太鼓判を押してくれています(笑)。
最後に、読者の皆さんにメッセージをいただけますか
- 河村さん:
- 「資さんうどん」は、単なる飲食業と思われがちですが、いろいろな人が能力を発揮できる企業なんです。個々の良さを活かす仕事がありますし、まだまだ未完成な部分も多いので。しかも、今入るのは、チャンスでしかないと思います。「北九州の資さん」が、「九州の資さん」になり、ひいては「日本の資さん」をめざしていくプロセスを、ぜひいっしょに体験してほしいし、力を貸してほしいと期待しています。
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