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三角商事株式会社は、ディスカウントストア(以下DS)「ルミエール」を展開する企業です。創業は、DSという業態自体が珍しかった1978年。1号店は連日長蛇の列ができる大盛況で、店頭にうず高く積み上げた商品がみるみる売り切れたとか。それから40年あまり、福岡県下23店舗に広がったルミエールのお店には今なお、創業時に負けないほど多くのお客様が詰めかけています。土日はもちろん平日でも、駐車場の空きスペースを見つけるのに苦労する店舗も珍しくありません。1日あたりの来店客数は約5000人。多少なりとも流通業界の事情を知る人なら、驚かずにはいられない数字でしょう。
- 「お客様のために何ができるか」が、すべての発想の原点
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DSですから当然、買いやすい価格設定も消費者に支持される理由のひとつです。ただ創業時とは違い、商品によってはルミエール以上の低価格を実現するチェーンも現れています。それでも支持が揺るがないのは、接客、品ぞろえ、売場運営のすべてにおいて、「お客様のために何ができるか」という発想が貫かれているからです。売場担当は品ぞろえの充実や欠品予防に全力を注ぎ、バイヤーは良い商品を1円でも安く調達するミッションを追求。売場スタッフに目当ての商品のありかを尋ねたら、どんなに品出しに忙しい時でも、すぐに手を止めて売場まで案内してくれるでしょう。
- 売上目標がないからこそ、誠実になれる
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社員が「お客様のために考えて動く姿勢」を貫けるのは、それが唯一最大の行動指針だから。売上目標は売場にも社員個人にもなく、何年度までに何店舗出店、前年比何十%増といった会社全体の目標数字もありません。ひとたび目標数字を掲げると、どうしても我欲が出る、つまりノルマ達成の義務感がお客様への思いに優先してしまうと考えるからです。
ルミエールは、事業拡大や利益向上を目指すより、お客様、社員、お取引先、関わる人みんなが幸せになれるDSでありたいと考えています。お客様の日々の暮らしを支える意味で、毎日同じ価格で買えるEDLP*¹を徹底。特売の目玉商品で瞬間的な集客増を図ることは一切ないそうです。新規出店についても、オファーをいただいた際に1店舗を無理なく運営できる人が育っていると判断したら出店する自然体を貫いているのだとか。創業以来変わらぬ店舗の賑わいを見れば、このルミエール独自の姿勢と手法が、何よりも社員のモチベーションを高め、お客様を惹きつける強みにつながっていることがわかります。
*¹ EDLP…Everyday Low Priceの略。特売期間を設けず、各商品を年間を通じて同じ低価格で販売する価格戦略のこと。 - 本物を知る研修で、人間力を高める
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「業務スキルの養成」という意味では、ルミエールの教育制度はごく一般的で、特別なプログラムは用意されていないようです。目の前のお客様の役に立ちたいと思える人なら、放っておいても自主的に勉強し、自律的に成長できると考えるからで、事実、社員の大半がそうなっています。そのかわり「人育て」に関しては、「本物に触れること」をコンセプトに、コストをいとわず注力しています。アメリカで実施する海外研修では、大型ショッピングモールで最新の業態を視察する一方、地域密着の姿勢で就職人気も高い地場スーパーマーケットの接客を体感。また創立35周年や40周年といった節目の年には海外、ふだんは国内を目的地とする社員旅行の宿は、リッツカールトンや老舗旅館といった一流の宿泊施設。流通先進地の最新の業態を学び、洗練されたホスピタリティを肌で知るプログラムです。こうした体験を通じて磨いた人間力を、日々の業務や接客のレベルアップにつなげる狙いです。
- これからも、地域に幸せの循環をもたらす店として
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ルミエールが目指すのは、物心両面からお客様の暮らしを支え、地域に幸せの循環をもたらすことです。商品を安く売ることに加え、近年ではプライベートブランドの開発、商品化を視野に入れた自然農法による農業法人、ECサイトの展開など、新たなチャレンジも多彩。社員専用の保育所もあるそうです。また2018年オープンの志免店からは店内に多目的イベントスペースを設けるなど、地域の交流拠点を目指す取組みも進めています。
ルミエールとは、「光」を意味するフランス語。企業ミッションに掲げる「暮らしにやさしい光を」という言葉の通り、ルミエールはこれからも、新しいチャレンジを通して人々の暮らしをやさしく照らしながら、幸せの好循環を生み続けるでしょう。
会社概要
- 三角商事株式会社
所在地 | 福岡市博多区博多駅前2-19-27 |
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URL | http://lumiere-ds.com/ |
代表者 | 三角 勝信 |
資本金 | 1億円 |
設立 | 1978年11月 |
従業員数 | 1,300名 |