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株式会社テムザックは、“ありそうでなかった”ロボットメーカーです。同社が開発しているのは、工場の生産ラインに据え付けられる産業ロボットではありません。日常の生活空間の中で、人間のために働くロボット=「ワークロイド」を、専門に開発・製造しています
- 医療現場や災害地で実用化。大企業からのオファーも続々
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その代表格が、歯科学生の臨床実習用に開発された歯科患者シミュレーター「デンタロイド」です。音声認識機能を搭載しており、医師の指示に従って口を開け、顔の向きを変えるなどの動作を行います。その子供版として開発された「ペディアロイド」はさらに進化し、全身症状や痙攣の動き、瞳孔や顔色の変化などもリアルに再現。救急救命を含む、小児ケア全体の実習を可能にしました。
その他、災害現場で活躍する「援竜シリーズ」。被介助者の移動を楽しくサポートするユニバーサルモビリティ「ロデム」など、さまざまな製品に開発に成功。
さらに、ここでは詳細は明かせませんが、幅広い業種の大手企業からも、それぞれの現場の悩みを解決する開発オファーが続々と届いているといいます。私たちの身の回りで、同社のワークロイドたちが活躍する日も、そう遠くはなさそうです
- 福岡県生まれ。少数精鋭の技術者集団が持つ強み
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同社の設立は2000年。北九州市で発祥し、現在は福岡県宗像市と京都市に研究所を構えています。社員は両拠点をあわせても25名ほどという少数精鋭の会社。にもかかわらず、同社が「ワークロイド」という分野で、大手ロボットメーカーにも負けない実績を上げているのには理由があります。
まずはなんといっても、その技術の特殊性。工場内という安定した環境で稼働することを前提にした産業用ロボットとは異なり、ワークロイドは環境を選べません。屋外、不整地、光の不安定な場所など、さまざまな環境下で、さまざまな仕事を行う必要があるため、産業用ロボットとは全く異なる設計思想と技術が求められるのです。その難度の高さゆえ、誰も踏み込まなかった分野に、同社はいち早く飛び込み、20年にわたって独自のノウハウを積み上げてきました。と同時に全国の大学の研究機関と連携し、作り上げてきた研究ネットワークも大きな強みとなっています。
- 世界最大級の見本市にも出品。課題は人材不足
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そして今、そんな同社の技術力がグローバルに認められるチャンスが訪れています。2022年1月にアメリカ・ラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー見本市「CES」に、小児患者型シミュレーター「ペディアロイド」が出品されることになったのです。「きっと世界が驚くはず。開発オファーがさらに増える可能性がある」と管理本部の松尾潤二総務部長は期待を膨らませます。
そうなると課題は人材不足。ワークロイドの開発は、機械設計、電子・電気設計、制御設計という3分野の技術者による共同作業で行われます。今後開発案件が増えれば、そうした技術者たちがさらに必要となるのはもちろん、クライアントとの間に立ってプロジェクトを進める法人営業の存在も重要になってきます。
- ロボット開発とローカルライフ。2つの夢がかなうチャンス
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採用活動に注力する近年は、中途入社の社員も増えてきました。前職は機械メーカーなどさまざまですが、共通しているのは、ロボット開発に対する興味と情熱。「子どもの頃にあこがれていたロボットを作ってみたい」という人にとってはまさに夢を実現する舞台となっています。
また研究所がある宗像市は、福岡市内から車で1時間ほどの田園都市。海や自然も近いことから、移住者に大人気のエリアです。ワークライフバランスを大切にしたい人にとってもうってつけの環境といえるでしょう。
会社概要
- 株式会社テムザック
所在地 | 福岡県宗像市江口465番地 |
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URL | https://www.tmsuk.co.jp/ |
代表者 | 髙本 陽一 |
資本金 | 4億8,120万円 |
設立 | 2000年1月 |
従業員数 | 25名 |