同社のもう１つの特色は、急速な多都市展開を図るのではなく、１つ１つのエリアにじっくりと深く根ざしていく戦略にあります。
2023年12月現在、事業を展開しているのは、福岡、東京、名古屋、熊本の4都市のみ。東京都内でも今のところ、台東区、墨田区を中心としたエリアにあえて絞って展開しています。

こうした戦略の理由を家本代表にたずねると、「この事業は、単に自転車を置けばいいというわけではありません。そのまちに対する"愛"が必要。我々はシェアサイクル事業を通じて、新しいまちづくりも提案していきたいと考えているので、そのまちに深く根ざして、まちの人々としっかりコミュニケーションしていくことを大事にしています」とのこと。
実際に福岡も熊本も、渋滞やバス運転手の人手不足といった交通問題に直面しています。こうした課題の解消に熱意を持つ各自治体の首長や職員とダイレクトに意見を交わし、密接な協力体制を作り上げていることが、それぞれのまちの認知度や駐輪ポートの急速な拡大につながっているのです。